◎◎紹介記事◎◎
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朝日新聞』(2002年10月3日夕刊)

「DV絶える日まで
  …鎮魂・癒やしの「間奏曲」 被害者の声聞き作曲
    名古屋出身の野村さんがCD」



 「間奏曲」を意味するイタリア語「インテルメッツォ」という題のCDが発売された。夫婦間暴力で傷つく女性をいやし、亡くなった女性への鎮魂の思いを込め、名古屋市出身の作曲家野村誠さん(34)が作った約5分のピアノ曲。タイトルは「暴力が根絶される日まで演奏される曲」という意味からつけられた。

 昨年(2001年)2月、東京でドメスティック・バイオレンス(DV)に取り組むカウンセラー・草柳和之さんから依頼があった。
 「DVで年間100人を超す死者があるが、ひとごとな人が多い。象徴する楽譜を出版し、弾く人や聴く人が関心を持つきっかけにしたい」。草柳さんは、DV防止法施行(昨年10月)に合わせたイベントで発表したいと頼んだ。
 DVに詳しくなかった野村さんは「表面的になるのでは」とためらった。だが、草柳さんの熱意に「被害者の声を代弁するつもりでやろう」と引き受けることにした。

 イメージ作りのため昨年(2001年)3月、DV被害者らの声を聞いた。愛した人からの暴力、人格を否定される屈辱、別れる難しさ――話す内容に圧倒されて、曲作りは進まない。夏を迎え、再び同じ顔ぶれに集まってもらった。頭に浮かぶメロディーを即興で演奏し、感想を求めた。3時間近くも繰り返し、手応えを得た。

 昨年(2001年)10月のイベントで初演し、楽譜販売を始めた。好評だったため、草柳さんらが音楽会社にCD化を持ちかけ、今年8月、発売にこぎつけた。野村さんらは音楽会で演奏する際、作曲の由来を話すようにしている。「曲に込められた願いを聴き取って考えてみてほしいんです」
 CDはエアプレーンレーベル(tel.03・3230・7015)、楽譜はメンタルサービスセンター(tel.03・3993・6147)で扱っている。



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